醗酵バターを御存じか。その名の通り乳酸醗酵させたバターのことで、乳製品のとても濃厚な香りがするバター。パティシエの青木定治さんは、著書の中で「くらくらするくらいの発酵臭（原文ママ）」とエシレバターの香りを表現しているくらい。焼き菓子に使うと香りとコクが加わるのだけれど、これをソフトクリームに入れるという発想は斬新。フランスが本拠地の乳製品専門店【beillevaire（ベイユヴェール）】麻布十番店で食べられる。
醗酵バターの酸味ほのか、濃厚風味のソフトクリーム
ソフトクリームは３種類。醗酵バター／ブルーチーズ／抹茶。私は醗酵バターでお願いした。650円。ソフトクリーム界の高級品値段。
意外に微シャリ感のある舌ざわり。もっとねっとり重たい食感を想像していたのだけれど、さにあらず。酸味のある醗酵バター臭もあるにはあるのだけれど、思っていたよりずっと柔らかくほのか。恐らく醗酵バターを知らない人が食べたら、気付かないのではないかと思うくらい。人の嗅覚は20秒で慣れるので、食べ進むうちに濃い目の牛乳ソフトとの違いが曖昧になってくる。濃厚ソフトクリームがお好きな向きにお薦めしたい1本。
なおソフトクリーム1本しか食べないのに、バターサブレとお茶までご馳走になってしまった。このバターサブレが流石においしく、やはり醗酵バターはソフトクリームよりも焼き菓子に使った方がいいのではという居たたまれない結論に逢着する。お土産にバタークリームサンドを購入したのだけれど、これが1個500円！という驚愕の東京価格（というより関税価格か）で怯む。
個人的な見解を述べるなら、バタークリームサンドは六花亭の方がおいしいと思う。クリーム自体はとてもおいしいのだけれど、サブレ生地の目が詰まりすぎ／硬さにムラがあるように感じた。